
相続税の納税資金を確保するために米ドル建て生命保険に加入する際の注意点と、税金の計算について教えてください。
先日、相続税の納税資金を確保するために「米ドル建て生命保険」の提案を受けました。この保険は相続対策だけでなく、資産分散やインフレ対策にも有効と聞きましたが、加入する場合の注意点があれば教えてください。
また、契約内容は以下を予定しています。この場合、外貨で受け取った死亡保険金はどのように相続税の計算をするのでしょうか?
- 保険種類:米ドル建て終身保険
- 保険期間:終身
- 保険金額:10万米ドル
- 契約者・保険料負担者:A(相談者)
- 被保険者:A
- 死亡保険金受取人:B(Aの子)
外貨建ての場合は、為替変動リスクに注意が必要です。特にご相談のケースは納税資金の確保が目的でもあるため、円換算時の為替水準によっては予定していた資金の確保ができない可能性も考えられます。また、この場合、外貨で受け取った死亡保険金は円換算して相続税の計算をすることになります。
米ドル建て生命保険とは、払い込んだ保険料が米ドルで運用される保険商品です。保険会社によっては、日本円入金特約や日本円支払特約を付加することで、日本円での保険料払い込みや保険金の受け取りも可能ですが、原則的には米ドルで保険料を支払い、保険金や解約返戻金も米ドルで受け取る生命保険です。
最近では日本円よりも米ドルの金利が高いため、円建ての生命保険と比べると同じ保険料の場合、予定利率の高い米ドル建て生命保険の方がより大きな保障を付保できる場合が多くなっています。
ご相談のケースでは、死亡保険金を相続税の納税資金に充当したいとのことですので、為替変動リスクには特に注意が必要です。為替水準によっては、予定していた納税資金を確保できなくなる可能性も考えられます。納税資金を日本円ベースで確実に確保したい場合は円建ての生命保険も検討する、あるいは受取時に円高となった場合に備え、少し保険金額を大きく設定されるとよいかもしれません。
また、日本円での保険料払い込みや保険金の受け取りには為替手数料がかかります。為替手数料は保険会社によって様々です。為替手数料の負担は、保険会社ではなく契約者の負担となりますのでご注意ください。
仮にご相談の契約内容で死亡保険金を受け取った場合は、相続税の対象となります。
また、死亡保険金を米ドルで受け取った場合は、日本円に換算して相続税の計算をすることになりますが、日本円換算日は被保険者の死亡日とされ、円換算に用いる為替レートは対顧客直物電信買相場(TTB)を用いることとなります。この場合、外貨建てによる死亡保険金であっても、当該保険金の受取人が一定の者であれば死亡保険金の非課税の適用を受けることは可能です。
なお、日本円支払特約を付加することにより、日本円で死亡保険金を受け取る場合は、実際に受け取る日本円の保険金額で相続税を計算することになります。
保険は、契約の内容によって税金の取扱いが異なります。保険に係る税金の取扱いや相続対策に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
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